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マイコプラズマ性肺炎について

マイコプラズマ ハイオニューモニエは生産性を低下させます。

豚のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染は流行性肺炎を引き起こし、豚の生産性効率を大きく阻害します。

病原性a

豚群に広く蔓延するマイコプラズマ・ハイオニューモニエは、細胞壁を持たないこと、そして大きさが非常に小さいことが他の細菌と異なります。本菌は特異的な病原性を有するとともに、さまざまな程度の気管支肺炎や胸膜炎を起こすパスツレラマ マルトシーダ、APP、レンサ球菌のような他の細菌の二次感染を助長します。

豚における呼吸器疾患は異なる要因が複合的に相互に関係し、経済的損失の主要な原因になっています。
これらの病原体のうち、マイコプラズマ・ハイオニューモニエは明らかに主要な原発要因です。
感染の間マイコプラズマは、気管、気管支そして細気管支の線毛上皮に密に結合します。 急激な増殖により気道線毛のほぼ完全な破壊が起こります。線毛による排除が損なわれることにより肺胞マクロファージの非特異的防御メカニズムが低下し、様々な重感染の機会が増えることになります。

a   a   a
健康豚の線毛上皮
(3,000倍)
  感染によって破壊された
線毛上皮
(3,000倍)感染後 9週
  感染豚(1,000倍)
感染後 9週

豚における感染は次のように起きます。
垂直感染:母豚から子豚へ   a
水平感染:離乳後及び肥育期に豚を集めたときに起る直接的接触及び空気感染。豚群の 汚染は主に感染豚の導入により起こります。

症 状

野外の状況では、流行性肺炎は高い罹患率と低い死亡率によって特徴づけられます。
一般的な症状は次のようなものです。
咳、最初は乾いて断続的であり、その後細菌の 2次感染による熱を伴う連続的な咳とな る
豚の一般状態の悪化と群におけるバラツキ
個々への処置、さもなければ集団的処置が必要
「体重 60kgでの発育阻害」約 16~ 17週齢時の飼料摂取の減少、発育停止
臨床症状は、一般的には肥育中期にみられます。
しかし、最近になってマイコ感染の臨床像に変化が起こってきました。他の病原体 (PRRS)の関与により、時々重篤な症状が 18週齢(“18週齢の壁”)以降にみられ ます。

マイコプラズマ肺炎におけると場での肺の検査と経済的影響の程度

と場で行う調査により肺病変の頻度と程度を評価することができます。
それぞれの肺葉に 0から 4までのスコアをつけます。肺全体のスコアは 0から 28までと なります。(Madecら1982)

a   a   感染が早期に起こり病巣が治癒してしまっている時など、スコアリングは時々マイコプラズマ感染の影響を小さく見積もってしまうこともあります。しかし、肺病変は経済的損失と高い相関があるので一般的には流行性肺炎の優れた指標となります。
正常な肺   感染肺    

と殺時の肺病変スコアと肥育期における増体重の相関 (Madecら1982)
肺病変スコア(0~28) 3.2 3.8 4.9 9.8
増体重(g/日)
体重[30-105kg]
>810 740-810 660-740 <660

■MPS肺病変面積と生産性の関係
生産性 肺病変面積
0% ~10% ~20% ~30% ~40%
1日平均増体重 0 -3% -8% -15% -19%
飼料要求率 0 +0.04 +0.14 +0.25 +0.33
出荷日齢 0 +2% +7% +15% +21%

肥育豚の市場価値の 5%以上が、流行性の呼吸器疾患における発育遅延、飼料効率の悪化、治療経費そして死亡率により失われているのが現状です。

流行性肺炎へのチャレンジ

流行性肺炎へのチャレンジは欠くことのできないものです。本疾病に打ち勝つことにより、 臨床的に、または衛生上、畜産そして経済的観点からの利益を得ることができます。

発咳の低減
呼吸器疾患治療経費の削減(個体的、集合的)
と殺時肺病変スコアの軽減(肺病変保有率%、平均スコア)
飼料摂取率の増加
増体重の増加及び飼料効率の改善
群における均一性向上
肥育舎回転率の向上(期間の短縮)
体重 1kg当たりの飼料経費の削減
豚生産にかかわる人件費の削減(治療作業、出荷時の選り分け作業)
損耗率の低下
出荷時体重の均一化と利益の向上
 
a
健康な肺
 
a
感染肺

流行性肺炎対策は非常に有益ですが、その中でも最も有効性が高いワクチン接種をすることが大切です。

ますます複雑になっている呼吸器病原

呼吸器病は病原因子と群管理の間の多様な相互作用の結果です。

■呼吸器病における相互作用の複雑性
a

状況は歳月とともに変化し、また群ごとに異なる。

この状況の多様性は次のような要因によるものです。

混合感染の重要性
 
多数の要因による呼吸器病(マイコプラズマ、コロナウイルス、APP, PRRS)
PRRSとの相互作用:
マイコ感染によってPRRSの臨床症状、肺病変が悪化するという報告があります。
PRRS感染はマイコプラズマ肺炎ワクチンの免疫獲得に干渉します。
   
マイコプラズマ・ハイオニューモニエの疫学の変化
ワクチンの普及
抗生物質の添加
群管理の変化の結果、など
   
群管理の変化
 
妊娠豚の採用制限
早期離乳
オールイン・オールアウト
動物間の接触の制限、など
   
新たな病原体の発生
 
PRRS
コロナウイルス(より高頻度化)
PMWS(サーコウイルス)

豚群ごとに最適なワクチン接種プログラムが必要となるマイコプラズマ肺炎ワクチンをはじめとして、予防手段は状況の多様性に順応させなくてはなりません。
“呼吸器病問題を調査するときには、疾病が最初に起こる時点を特定することが必須である。なぜなら、これは管理の変更によって疾病の影響を減少できることを明確にするからである。(M.Muirhead, T.Alexander, 1997)
“それぞれの群は異なる。最適な対策プログラムを設定するためには感染の動態をよく理解することが重要である。”(C.Pijoan, 1998)

マイコプラズマ肺炎ワクチンの接種プログラムを最適化するため考慮しなければならない要因

群における感染の動態
移行抗体による免疫干渉の危険性
混合感染の潜在的役割
実践的そして経済的側面

豚マイコプラズマ肺炎:感染の動態

群におけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の広がりは、遅い場合も速い場合もあります。ですから、ワクチン接種プログラムは、それらに応じて最適化しなければなりません。

感染動態の違いは以下のような形で見られます
症状出現時期:臨床症状は離乳後から、または肥育期に現れます。
抗体陽転時期もまた、臨床症状の発現時期に応じて様々です。
マイコプラズマ・ハイオニューモニエにおいては、1つの群の 25~ 80%の豚に感染が広がるのに約 3週間かかります。臨床症状と抗体陽転は、感染開始から 4週後に現れます。

■SPF豚200頭における攻撃後の臨床症状発現と抗体陽転の推移
a
■血清学的側面は群における感染を把握するために非常に重要
a
初乳による免疫が少ない
分娩舎における感染の開始
肥育中期における抗体陽転
肥育開始期における感染
初乳による免疫が少ない
分娩舎における感染の開始
肥育中期における高い抗体陽転
全飼養期間を通した感染

いくつかの要因によって、臨床症状の発現は肥育期のかなり遅い時期に起こることもあります。
疾病流行の減少
群管理の変更
飼育密度の変化
群における臨床症状の発現が遅い場合、ワクチン接種を遅らせることが望ましい。

移行抗体による免疫干渉の危険性

この危険性については、以下のように立証されています。

“ワクチン接種時に子豚が受動的に免疫されている時、ワクチン接種によって産生される抗体量は低下する。”
(B. Thacker, 1998)
“肺炎の発生を仕上げの段階近くで経験したことのある生産施設においては、多くの人が 21日齢までにワクチン接種を終了するかわりに、離乳期の間に 2回ワクチンを接種することによる非常に大きな利益を得る。豚が 6~ 8週齢になるまで待つことは、移行抗体の自然低下までの時間を与え、ワクチン接種群の大部分が防御反応を表すことができるようにさせる。”(J. Quinlan, 1998)
感染から回復したばかりの母豚は高い抗体価を有し、強くそして持続する初乳免疫を伝える。それらの子豚の抗体を産生する単核細胞の能力は年齢とともに増大する。:“可能性のあるワクチン接種の最も望ましい時期を確認しなければならない。”(P. Wallgren, 1998)

■マイコプラズマに対する受動免疫と能動免疫(例)
a

■移行抗体持続の推移
a

混合感染


混合感染は非常に複雑です。いくつかの病原体は互いに増強しあうか、またはワクチンによる抗体産生に影響を与えるでしょう。

いくつかのウイルスは免疫システムの能力に影響を与えると思われます。
PRRS:マイコプラズマ・ハイオニューモニエ及びそのワクチンとの相互作用が認められています。
(Thacker, 1999)
PMWS(サーコウイルス)

ゆえにワクチンは、ウイルス血症時期の前に接種すべきである。

 
   
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